7球団競合は流石に驚いた。競合になるとは思っていたが、まさか高卒に7球団とは…
　俺がポカンとしていたら、市村が「名取さん。誰がひきますか？」と聞いてきた。
　ここは先輩らしくと、咄嗟に「俺が引いてくるよ！」と言ってしまった………
　終わった……………俺、生まれてこの方くじ運がいい試しがない。
　当たったのといったら、2017年に5球団競合で南方を当てたぐらいだ。
　あれ以前も以後も、それレベルの大当たりを引いた試しがない。
　それなら当たるかもだし引けばいいじゃん！そういう人がいると思う。だが本当の理由はそうではない。
　あの2017年、まさかの大当たりで、子供のようにジャンプして喜んでしまい、その姿がネットミームになってしまったのだ。
　今、俺がくじを引くために移動しているときにも、「次のミーム待ってるぞ！」というヤジが聞こえてきた。泣きたくなった。
　俺が朝比奈でいこうと提案したくせに、だんだん朝比奈を引きたくなくなってきた。
　そうこうしているうちに、くじが回ってきて慌てて引いた。そして、当たるんじゃねえと強く念じた。
「一斉にくじをお開けください。」
　俺は勢いよく開いた。
（何も、書いてありませんように！）
　当たり
　ん？んん？いやないないない。いつも初詣でくじ引くとき小吉か末吉なのに？ないないない。
　だが、そんなことを思っていても、目の前の現実は変わらない。くじに赤文字で当たりと書いている事実は変わらない。
　俺の頭にはマジかよという悲しみとも怒りともつかない感情が渦巻いていたが、その感情を破って、俺の頭には嬉しさの感情が嵐を起こした。
「オッシャァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー！」
　気づいたら俺は、大声でそう叫んでいた。